<1989>

YOKOHMAスーパーオペラ海光
コーラスで参加した256日の航跡(2月25日〜6月26日)



横浜開港130周年記念 横浜市民オペラYOKOHAスーパーオペラ海光
横浜アリーナで開催
6月22日〜6月26日

コーラス265日の航跡を振り返って
平成1年2月25日(土) 雨
関内教育文化ホールにて説明会開催
15:30〜18:00

横浜市市制100周年記念イベント「スーパーオペラ海光」で
コーラスとクルーを募集していること職場の同僚がみせてくれた広報誌で知って
コーラスは経験したこともなかったので、裏方の仕事がしてみたいって理由で応募することに
説明会のさいに、クルーの仕事は昼間も活動しなくてはならないと
家庭もあり仕事もしている私にはコーラスしか選択ができなくて、、、、
その日からコーラスをすることを決断し、Julieと同じ舞台に立つことを夢みつつ現実が始まって

◇3月15日(水)晴れ
緑区公会堂
19:00〜21:00

職場から近い練習会場でコーラスの練習開始
仕事が終りバスと電車を乗り継ぎ練習会場へ
最初はコーラスの台本などまだなくて、発声から先生に指導されパートを決めた
声が低いのでアルトを希望したけどアルトのパートは難しい〜
コーラス経験者もいれば私のように初めてのひともいて発声方法から指導されて

◇5月23日(火)雨のち曇り
緑区公会堂
19:00〜

3月15日から、きょうまで全21回の練習を重ねた
途中から歌の台本もできて何曲も覚えなくてはなならくて大変だったけれど
Julieと舞台に立つなんて夢みたいなことに家族や職場の上司も理解してくれて
職場のいろんなひとに迷惑かけたりお世話になったりしつつ
3ヶ月間のコーラスの練習を終え感謝!感謝!
コーラスの台本




5月31日(水)〜6月4日(日)
鶴見スポーツセンター

顔合わせ
このとき初めて出演者とコーラスが同じ場所に集合

挨拶をするJulie(256日の航跡より)

演出:市川猿之助

主演:沢田研二 大地真央
共演:市川右近 平野忠彦 余貴美子 大谷亮介 坂東弥十郎

美術:朝倉 摂
照明:吉井澄雄
衣装:毛利臣男


6月10日(土)雨
横浜アリーナ
18:00〜21:20

タイガース・メモリアル・クラブ・バンドを観に行った
Julieも出演したのに、2週間後のことで頭がいっぱいで内容が記憶されずに。。。


6月15日(木)曇り
横浜アリーナ
16:30〜21:00
合同練習1日目

きょうから本番と同じ会場でコーラスと他の出演者の合同練習スタート
5日前にアリーナ席で、ステージで歌うJulieをみつめたけれど
きょうからはフアン目線ではなくコーラスの台本とお芝居の台本と2冊持って
同じ舞台に立つ出演者としてみつめることに
理解ある上司のおかげで職場を早退し会場へ
 
(16:00)控え室入り
(16:30)コーラスの練習
(17:30)食事時間、今頃Julieも食事しているのかなぁなんて思いながら用意されたお弁当を食べる
(18:00)パート別の番号順に整列し、ステージへと向かった

1000人もいるのでパート場所にスタンバイするだけでも時間がかかる
コーラスの私達はステージの奥のひな壇みたいなところにパートごとに座った
コーラス全員がそろったところにJulieが登場。
いつもは客席からステージ上のJulieを観ているのに同じ舞台の上にいて
後ろから見る状態でこれから同じことを練習する
ステージ上のJulieは観慣れているのに、いろんな緊張で。。。
市川猿之助さんはすごくきびしい人だった(当然だけど)
コーラスの小道具等にもにも細かな指導があった
コーラスが扱う小道具は4つ
ペンライトは1000人が一斉につけたり消したりするのがなかなかそろわなかった
30センチぐらいの四角い鏡、向きにより反射が違うので難しかった
木の枝を1000人そろってだしたりと、コーラスだけでも大変なのに本番は大丈夫かなぁと
無謀な挑戦に不安も過ぎったりしながら、台本にメモ、メモ

Julieにも何か細かな指導をしていたけれど自分のことでせいいっぱい
Julieたちと初めての合同練習は、初めてづくしで、時間も長くて疲れた〜
帰宅は夜10時過ぎ、家事はだんなさまに任せきりで明日も仕事と練習に頑張らなくては


6月16日(金)雨
横浜アリーナ
16:30〜21:00
合同練習2日目
きょうも仕事を2時間早退しJulie他共演者と合同練習、疲れた〜


6月17日(土)曇りのち雨
横浜アリーナ
15:30〜21:00
合同練習3日目

仕事が休みなので15:30からコーラスの練習に参加できた
きょうもまたお弁当を食べ整列してステージへ
21:00に合同練習を終え疲れて控室の廊下を歩いていた
そこへ男性がお疲れさまと言って通り過ぎて行った
疲れていたので顔も見ずにお疲れさまと挨拶を返した
先に歩いていたコーラス仲間がふりかえって何やら言っている
私の横を通り過ぎたのがなんとJulieだったなんてこともあったり
合同練習が始まったときにフアン目線をココロにしまっていたので、そういうことも普通に
5時間以上の長い稽古も、この日の帰りは疲れ知らずだったけど


6月18日(日)雨
横浜アリーナ
15:30〜21:00
合同練習4日目
午前中は主婦としてたまった家事をこなし午後はひたすら稽古に励む


6月19日(月)雨
横浜アリーナ
18:00〜22:00
合同練習5日目 ゲネプロ1日目

きょうよりゲネプロ、本番と同じ練習
仕事を30分早退しゲネプロに参加

きょうからコーラスの衣裳をつける練習をした

Julieたちも本番と同じ衣裳をつけて(写真はパンフレットより)



本番と同じ時間19:00からゲネプロ開始
コーラスが扱う何種類かの小道具で何度かダメだしされてしまった
やはりプロじゃない1000人がそろうのは大変なこと
コーラスがダメだしをされたらその間、Julieたちプロは待っていることに

ひととおり最後まで練習し終わって我が家へ。
だんなさまが駅まで車でむかえに帰宅は23時を過ぎて、明日も仕事と稽古


6月20日(火)曇り
横浜アリーナ
17:00〜22:00
合同練習6日目 ゲネプロ2日目
仕事を2時間早退し、17:00から練習に参加
18:00からゲネプロ開始


6月21日(水)曇りのち雨
横浜アリーナ
17:00〜22:00
合同練習7日目 ゲネプロ最終日
きょうも仕事を2時間早退し、17:00から練習に参加

明日から本番が始まるため細かな最終チェックが入り
台本も変更になったり、歌の変更もあった
コーラスが扱う小道具もたくさん
白・黒・オレンジ(アルトの場合)の3色の布の使い分け
ペンライト
30センチくらいの四角い鏡
緑とオレンジの小枝
以上の小道具を場面ごとに使い分けしなくてはならない
何度も練習したけれど台本は頭に入ってる?
Julieのセリフのあとにはどのコーラスだった?

明日からはこの舞台で、お客さんが入ったところでやらなくては
まだ信じられないことだけどやるしかない!
Julieと同じ舞台に立てるだけでも幸せなことなのに
高い入場料(9000円から3000円)を払って観に来てもらえるなんて


6月22日(木)曇りのち雨
横浜アリーナ 出演1回目
夜の部19:00〜21:45

いよいよ、きょうから本番 スーパーオペラ「海光」初日を迎えて
朝から仕事をしていても落ち着かなくて、やっぱり少し緊張していたみたい

仕事を2時間早退し楽屋入り16:30
私と友達が入ってすぐ後ろからJulieも楽屋入り
私達のすぐ後ろを歩いてくるので挨拶しようか迷っていた
合同練習のとき廊下ですれちがったときにJulieからお疲れ様って挨拶だっだし
今の私達の立場はフアンではなく出演者どうし、挨拶するべきだと思ったので
控え室がわかれるところでJulieに「おはようございます」、Julieからも「おはようございます」
Julieを20数年観てきて、こんな場面で挨拶をかわすことができるなんて夢にも思っていなかった
このことを励みに、きょうからの舞台を頑張ろうと思った

Julieも食事しているのかしらなんて思い、お弁当を食べて初めての出番を待った

いよいよスタンバイの時間
パートごとの番号順に整列し、いよいよ舞台へ
やはりいつもの練習と違って本番、まして初日はドキドキする

今頃、客席でパンフレットのページをめくっているJulieフアンの気持ちとは違って
お客さんの入った会場の舞台で自分はどんな気持ちになるのかしら
冷静でいられる?それとも緊張で舞い上がってしまうの?なんて不安でいっぱい

さあいよいよ出番!
始まりのドラが鳴り私達のコーラスで始まり、幕が少しずつ上がっていき
会場のお客さんが見えた時にはなぜか涙がでてしまった
あとは練習したとおりに小道具も無事にできたしコーラスも頭に入っていた
休憩1回はさんで2時間45分、あっという間のような、すごく長かったような
舞台ってすごく気持ちいいものだと感じた
最後にカーテンコールで幕が開いたときは何とも言えない気持ちになって
私にもできた〜という達成感を味わうことができた

(コーラス全員に事務局から配布された写真より)

舞台が終了して楽屋口をでるときは
Julieフアンの人達が出待ちしているので複雑な心境で通過
きょうから本番が終わる日まで私にも付き人?が
これから毎日、仕事帰りのだんなさまが舞台が終わる時間に車で待っていてくれることになった


6月24日(土)雨
横浜アリーナ
出演2回目
昼の部13:30〜16:15
出演3回目
夜の部18:30〜21:15

きょうは2回公演なので楽屋入りは11:30頃
少しコーラスの練習をしてお弁当を食べて昼の舞台へ向かう
昼の部の公演が16:15に終わり、17時頃またお弁当を食べて夜の公演の出番を待つ

このときにプロで芝居やったりする芸能人って大変だなと実感
お弁当食べてゆっくりくつろぐ間もなくまた舞台へ
私達素人にはやはり2回公演はきついけれど
昨日の本番前にJulieと挨拶をかわすことができたので、つらいことものりきれそう

公演の途中に休憩時間が入るけれど私達出演者もその時間を使ってトイレにいかなくてはならない
会場のトイレはお客さん用、控え室にもトイレがあるけど1000人だとすごい行列で15分休憩では
時間がたりないので会場の裏側外に仮設トイレが設置されて、ほとんどそこを利用していた
外の仮設トイレに行くにはJulieの楽屋の横を通って行くことに

きょうも幕間の15分休憩に衣裳を脱いで急いでJulieの楽屋横の廊下を通過しようとした
そのとき楽屋のドアが開いていて中にいたJulieが見えて
大きな鏡の前であの重いかつらをとり衣裳が暑いためか扇いでもらってるところだった
その光景を見て「あっ!Julieだ」と一瞬フアン目線になってしまったけど
今はファンでなく共演者だと、私も時間がないので急いでそこを通過してトイレに並んだ
Julieもちらっと横を見ていたけどやはりお芝居とかの裏の方を知ってしまうと大変だな思う
私達も15分間で衣裳を脱ぎトイレに並んで
また衣裳を着けてスタンバイしなければならないので時間との戦いを実感

きょうは本公演を2回も出演して今までに経験したことないことばかり
あとにはひけない大きな船に乗ってしまった!


6月25日(日)曇り
横浜アリーナ 出演4回目&Julie41歳の誕生日
昼の部13:30〜16:15

楽屋入り11:30、きょうはフアンが大勢楽屋入り待ちをしていた
Julieも同じ頃に楽屋入り、大勢のフアンに自分も見られているようでちょっと複雑な気分
公演中は少し余裕もでてきて舞台からお客さんの顔が見えた
知ってるフアンがたくさん、舞台からも客席の顔がはっきり見えることを実感

夜の部18:30〜21:15
客席で観劇(澤會からS席9000円のチケットを購入して) 
Julieの41回目の誕生日なので昼の部は出演して
夜の部は客席からお客さんの立場となってステージを観ることに
やはり出演してる時にはわからない客席からのながめは壮観な舞台だった
公演終演後、Julieの誕生日なので会場も盛り上がっていたけど
幕が降りた舞台側では出演者がJulieおめでとうコールで盛り上がっていた
Julie41歳の誕生日に客席でも観劇して舞台の上でも同じ時間を過ごすことができて
一日に舞台と客席でJulieとふたつの時間を過ごすことができたなんて一生の思い出

Julie直筆のコメントとサイン
41歳の誕生日に楽屋でインタビューされたときの記事(月刊「横浜スーパーオペラ」通信より)

スーパーコーラスの皆さんへ
皆様大変お疲れ様でした。
ありがとうございました。
一度客席から舞台上の皆様を拝見しとうございました。
沢田研二 1989.6.25


6月26日(月)晴れ
横浜アリーナ 出演5回目
夜の部19:00〜22:00

きょうは千穐楽で夜の部だけなので最後にじっくり味わいたいので仕事はお休みして臨んだ
この公演が始まってから初めてのいい天気、空も千穐楽をお祝いしてくれてるよう
16:30に楽屋入り、千穐楽なので入り待ちのフアンもたくさん
お弁当はもう最後なのでじっくり味わって、Julieと同じ舞台に立つのも今日で終わり
もうこんな夢みたいなこと一生ないと思ったら。。。

公演が始まり幕が開き
最後のコーラスで終り、幕が下りた

なりやまない拍手に何回もカーテンコール
最後の幕が下りた瞬間に出演者の中から歓声が上がって皆で喜びをかみしめた
やはり涙がでた

この公演にむけて2月から4ヶ月間、家庭も仕事もあった私にはとてもハードな日々だった
でもこうして無事に千穐楽をむかえて終わってみたら、そんな辛さも忘れてしまうくらい
大きな感動を味わうことができた

スタッフのIさん、事務局のKさんとハグして握手して別れた
楽屋出口はフアンの人でいっぱいだった
そこをなんとも言えない気持ちで通りぬけ私の付き人?の待つ車へと向かった

6月22日から6月26日の5日公演
最初は仕事もしているので4公演だけ出演する予定だった
でも応募した1400人のうち毎回出演できる1000人がいないため
再度出演i依頼を受けて仕事を調整して5公演に出演した

最初は裏方を希望していたのに
経験のないコーラスをやることになってしまったけれど
コーラスでJulieと同じ舞台を踏めたことで
裏方では味わえない感動を得ることができてよかったと思う

Julieと同じ舞台に立つという夢みたいなこと
私の一生の思い出になったけれど家族や職場の協力もあって成し遂げられて
公演中、夫は付き人に専念してくれたので
事務局から家族用にいただいたチケットは職場の後輩に
上司は自分でチケットを買い部下の晴れ舞台を観に来てくれた
いろんなひとに感謝!

会場で販売されたパンフレットにもコーラスとして自分の名前が載って、これも大切な宝物

舞台で着ていた衣裳は後日、「海光」記録写真集と一緒に事務局から頂き今も大切に保管している
写真は稽古のときにも本番のときにも衣裳の中に着ていたTシャツ

後日発売されたビデオにも1000人のコーラスの名前が
一部と二部、ふたつの映像の中に、自分の5ヶ月間が凝縮されて


お芝居を作っていく過程も経験し、舞台の初日も千穐楽も舞台の上で経験したことで
Julieのコンサートやお芝居の見方も変ったように思える
コンサートやお芝居を観ていても
お客さんでありながら舞台上の出演者の気持ちもわかるようになったり
Julieをいろんな角度から観ることで何倍にも楽しむことができるようになった

◆「海光」を取材してしてくれたところ
・朝日新聞
・NHKの横浜地方局の番組
・テレビ朝日 ニュースステーション
・TVKテレビ神奈川 MAKING OFスーパーオペラ海光
(制作発表記者会見・練習風景・リハーサル・千秋楽)

◆<海光>のあらすじ
たくさんの国を滅ぼしながら東へ東へと進んできた黒船と軍馬の国アマクニの軍勢が
平和な国オオクニに侵略しはじめた。
強大なアマクニに国家の存亡をかけて立ち向うかべきか、それとも隷属して生き延びるべきか
オオクニの国論は二分される。
巫女クシナダ(大地真央)の予言は「戦ってもアマクニに勝てない」という神の啓示を得るが
「屈辱的な隷属より英雄的な死を!」と叫ぶ若き勇者コトシロ(市川右近)の主張が勝利を収め
オオクニはアマクニとの戦いに突入することに。
オオクニはあえなく大敗し、この地に安住することを決意したアマクニの武将スサーノ(沢田研二)が
クシナダを妃に迎えようとする。