<2004年>

「謎の変奏曲」

作・エリック=エマニュエル・シュミット
アベル・ズノルコ:杉浦直樹
エリック・ランセル:沢田研二


東京公演 サンシャイン劇場
5.21〜6.6
(5/17公演)

京都南座(-/3公演)

北海道公演
6.16〜7.1
(1/10公演)

◇平成16年5月21日(金)雨・晴
1.サンシャイン劇場 初日
夜の部18:00〜20:40

朝降っていた雨も、半日年休で帰宅したころには上がって真夏のような暑さだった
あれこれ用事をすませ夕方、池袋に向かった


4月に帝国ホテルのトークショーのときは今回の二人芝居の稽古の最中だった
泣ける内容でセリフは膨大で大変だけれど歌を覚えるように覚えているそう
相手のセリフのときに眠くならないように工夫もしていると言っていたJulieだったっけ


◇謎の変奏曲
「エニグマ変奏曲」(原題:「VARIATIONS ENIGUMATIQUES」)として
1996年パリでアラン・ドロンがズノルコを演じたのが初演、その後、世界各国で上演された作品
ノルウェー沖の孤島で一人暮らしをしているノーベル賞作家のアベル・ズノルコの元へ
地方新聞記者エリック・ランセルが取材に訪れる


初めてのサンシャイン劇場、収容人数808人
澤會から届いた席は下手ブロックの8列、前2列は使用しないので実質6列目の端っこ
舞台の照明が暗くJulieの立ち位置は上手側なので表情も感じとれないまま膨大なセリフに圧倒され
下手側で演じるズノルコ越しに上手側ソファーに座っているランセルをみつめ
一部は内容に入り込めないまま終わって

二部でようやく芝居の中に入り込めたような気がした
ランセルの役をコミカルに楽しそうに演じていたJulieだったけれど
斜め前で杉浦さん演じるズノルコの方に感情移入しつつ、向こうのランセルも同時にみつめ
膨大なセリフの最後「君に手紙を書くよ」に思わず涙がこぼれた

場面転換もなく動きのないふたりの長いセリフ、初めての経験なので最初はとまどったけれど
動きが少なくても内容は入り込めておもしろかった
サンシャイン劇場は初日のみの申し込、友人が行けなくなったので、連続して明日も観劇することに

5月21日 記




◇5月22日(土)曇り・雨
2.サンシャイン劇場 二日目
昼の部13:00〜15:40

きのうの真夏日のような気温とは、ずいぶん違ってひんやりな気温

来れなくなった友人からの座席はセンターブロック左寄り実質2列目
きのうのサイドブロックより移動したので舞台全体が眺められる位置からの観劇
センターあたりで演じるランセルの細やかな表情も感じとれたのでセリフもすんなり耳に届いて
2日連続の観劇なので内容も染み込みつつ、Julieの演技にも集中できた
初日のきのうとは立ち位置の変化もあったり、セリフも変っていたような

Julieがコミカルに演じるたびに笑いがおこった、あまり小技は好きじゃないけれど
杉浦さんが椅子に座って最後のセリフ「君に手紙を書くよ」、きょうは目の前だった
ランセルには涙がでないのに、きのうにつづき杉浦さんのセリフに涙がこぼれた

涙ふきふきカーテンコールのときに
杉浦さんが、こっちに手をふってくれて思わず手をふって。。。
このお芝居は最後のズノルコのセリフに全てがあると思うので
もし、この先再演があったなら、そのときはズノルコを演じるJulieも観てみたいなぁ

きのうの初日は、舞台全体を斜めから鑑賞して、きょうはセンター端よりから
ズノルコやランセルの細かな表情も感じ取れて連続観劇のため内容も理解でき演技に集中できた

5月22日 記




◇5月29日(土)晴れ
3.サンシャイン劇場 9公演目
夜の部18:10〜20:50

午前中は家事をすませ歯医者さんへ行ったり、夕方一週間ぶりの池袋へ

きょうの席は職場の音協でとった18列右ブロックの端っこ
周辺には知ったひともいなく斜め前列が空席だったので見やすくてよかった
舞台の照明が暗い演出のため、距離も遠いので表情は感じ取れそうもなく

最初に登場してピアノの下にかくれる場面も、ぼ〜
ランセルを楽しそうに演じるJulieの表情も感じ取れないので
前方席の笑いには取り残された気分で
途中、集中力が薄れ瞼が閉じそうになったりしつつ一部は終わって

二部になって遠くをみつめセリフを言うランセル
眠っていたのが気付くはずもないだろうに、瞳を大きくしつつ舞台をみつめて
3回目だけれど、そのときそのときで立ち位置も違ったり、だいぶ進化していたような
ソファーでスーツケースに衣類を入れる場面、前回までは横斜め下手側向いてだったのに
今夜は客席に背を向けていたと思ったら、上手方向みつめながら靴下など入れたりするランセル
家で旅の準備するとき、そんな感じなのかしらとランセルがJulieになった瞬間だったっけ


最後の杉浦さんのセリフ「君に手紙を書くよ」
今までは椅子に座ってだったのに立って言うようにかわっていた

カーテンコールの最後に
舞台にブーケを置いたひとがいて、Julieがひろい杉浦さんに
そしたら杉浦さんは、そのブーケをJulieのぽっけに入れたりして
ふたりの微笑ましいやりとりが、9公演重ねた成果かしらね

二部になったらスタッフが後方席にいたり
フアンのひとは昼の部だったのか私の後方はちょっとあいていたかなぁ
中日の夜の部、知ったひともいなくてだったけれどズノルコとランセルの微笑ましい光景も観れて

5月29日 記




◇6月5日(土)晴れ
4.サンシャイン劇場 16公演目
夜の部18:00〜21:00

午前中は歯の治療で麻酔を打っているので、なんだかぼ〜っとしたまま会場へ

前回の土曜日から一週間ぶりの夜の部、今夜は友人がとった席で並んでの観劇
前2列がないので見晴らしいのいい下手側ブロックの端っこ


最初のお楽しみは下手側から登場してピアノの下に隠れるランセル
なんだか楽しそうに演じているJulieに、ついつい
先週から、ずいぶん進化?それとも東京楽前日だから?
ランセルの可笑しな仕草に笑いに誘われつつ、歯の麻酔がきれていないのか睡魔にも誘われ
せっかくの席だと言うのに土曜日の夜、一週間分の仕事の疲れもでてきたりして、、、
なんとも贅沢な空間で瞳が閉じたりして
上手側ソファーに座っているランセルも瞳が閉じそうなのは、、、
そんなランセルをみつめている人たちはクスクス笑うけど、、、
ズノルコがセリフを言っている瞬間も笑いが聴こえたりして相手役に失礼じゃないのかなぁ
麻酔のせいと治療の疲れとで瞳が閉じてしまうのも緊張感がないせいで申し訳ないことだけれど

膨大なセリフの昼夜公演
舞台で演じるひとも疲れるだろうに、セリフがちょっと、、、の箇所もあったり

東京公演は、今夜が最後のはずが、開演前にだめもとで窓口に行ってみたら
二桁席だけれど一枚あって、ついついお買い上げ、、、
明日は体調も整えて東京の千穐楽にのぞもう


6月5日 記



◇6月6日(土)晴れ
5.サンシャイン劇場 17公演目(東京千秋楽)
13:05〜16:00

きのうは真夏のような気温で、きょうはすごく涼しくて体調管理もたいへん
京都も行く予定にしているので東京楽はパスのはずが、きのう開演前に窓口で残りの1枚を


二桁の上手ブロックの真中より
後方の上手端っこよりは前進して内側に移動した座席なので
ランセルのどんな場面が観られるのかしらと、きのうの反省も含めての観劇
LP盤のレコードジャケットを持って歌う場面、まっすぐにみつめJulieの歌声聴いて
エレーヌが死ぬとき、涙ながらのセリフ、ソファーに座る位置や向きもかわっていたり
ランセルの涙に、もらい泣きはできずだった
東京最終日ということもあり、フアンもたくさん集結した客席
ランセルの小技で笑いの多い客席は、、、、なんだかなぁ

体調が優れないせい?なんだか素直に感動もできずに幕がおりて
東京公演、初日と二日目は内容に集中でき、ズノルコのセリフに涙したのがなにより

舞台で演じるふたり、長いセリフに17公演お疲れさまでした
つぎは京都南座、そのあとは北海道公演と旅公演がつづくので身体に気をつけて
無事に27公演目の幕がおりること祈って

6月6日 記




◇6月12日(土)晴れ
きょうと明日は京都南座で3公演
東京公演最終前日と最終日に体調が優れず感動も味わえずに終わって
楽日に感動しないことは初めてだったけれど、その翌日から5日も寝込むことになって
身体がだるく起きる気力もなく、熱と喉の痛み、内科では風邪と診断され
採血の結果は悪い数字でなく、体調がすぐれないときは歯科の治療もできないとのことで
予約もキャンセルし体力も気力もいっぺんに無くなってこれが更年期というものなのかしら
そんな訳で南座公演のチケット二枚も、関西の友達に行ってもらったりして宿泊もキャンセルして




◇6月25日(金)横浜雨・帯広晴れ
6.幕別町百年記念ホール
19:00〜21:40




東京公演千穐楽から5日寝込んだ後、とりあえず職場復帰はできて
内科や歯科に通院しながら日々が過ぎて当日を向かえて


きょうのラッキーカラー、グリーンを連れて気持ちを奮い立たせ出発して

Julie56歳の誕生日ってことで初めての地、帯広に飛び立って
窓際から空をながめてお昼時したら治療中のさし歯がとれちゃって
奥歯だからいいけど、こんな日のこんなときに。。。。

それでも飛行機は順調に低空飛行になって緑の三角地帯が見えて
そろそろ着陸、5分遅れで帯広空港到着
横浜は雨で気温は28℃、帯広は快晴で爽やかな21℃
空港で、しぼりたての牛乳のサービスがあって濃くて美味しかった


リムジンバスで宿泊先まで直行しチェックインして旅の疲れを癒して
ひとやすみ後、違う宿泊先の観劇仲間とおちあってタクシーでホールまで


きょうの観劇は全席自由席なので、すでに並んでいる列の最後尾に並んで
しばらく並んでいたらお腹が空いたので、みんな順番に近くのコンビニへ
近くと言っても広大な北海道、コンビニまで10分ぐらい歩いて
並んでいても食べられるおにぎりやソフトを買って
ホールの外は芝生になっているので
ベンチでひとやすみしながら青空ながめ美味しい空気とおにぎり食べていたら


そんなときに向こうから車がやってきて、あらまぁと
おにぎり持ったままのひともいれば
仲間たちは、瞬時におにぎり持った手は後方へかくしたわって後で聴いたり
何やらタクシーが入口の道を間違えたおかげさまでおにぎり風景の横を通過したみたい
運転手さん、グリーンの芝生に吸い寄せられちゃったのかしらねって

そんな思いもよらない出来事のあと、ふたたびホールの狭い通路に並んでいたら
大皿にのったおにぎりがいっぱい運ばれていったり
おっきなバースデーケーキが運ばれていったり、そんな光景に開演前の楽屋だったり
リハーサル風景の舞台などを思い浮かべたりして、楽しい待ち時間になって

北海道公演は10公演あってきょうは7公演目あと3公演
自由席なのでスタッフから前列での観劇が度重なるひとへの注意事項もあったり
開場まじかになったら仕事を終えた地元のひとや若いひとたちも並んで

収容人数800人のホール、縦に長いサンシャイン劇場と違って逆扇型に広がって
前列観劇があんまり縁がないひとたちは並んだ順番に席を選んで
ズノルコ役の杉浦さんとランセル役のJulieが
平均的にみつめられる位置がいいかしらと観劇する座席を決めて

今回のお芝居で、この位置は初めてだったので
ズノルコとランセルがどんなふうに観えるかしらと開演を待って

体調が優れないせいであんまり感動できなかった池袋の千穐楽のあと
寝込んだりして、京都公演も行けなかったので20日ぶりのJulie
ちょっぴりワクワクな気持ちになれたのがなによりだった

気持ちのせいなのか、関東フアンの多い客席と違うからなのか
コミカルに演じるランセルの演技に素直に気持ちが動いて
服をたたむ姿に改めて几帳面なのねぇって感じたり


エレーヌが亡くなる場面は立ち位置もかわっていたり東京とは違い新鮮な感動
舞台にあまり接近していない程よい距離から哀しげに切なく演じるランセルをみつめても
やっぱり涙はでなかったけれど
ズノルコも、ずいぶん進化して面白さがまして、ひきこまれて
ランセルの涙に、こぼれない涙だけれど
ズノルコの最後のセリフ「君に手紙を書くよ」に初日のときと同じ涙がこぼれた
笑ったり泣いたりも、きょうが最後だと思ったら、カーテンコールのときも涙ふきふき
カーテンコールの杉浦さんとJulieふたりの笑顔が印象的だった

きょうはJulieの56歳の誕生日だから飛行機でかけつけたけれど
先輩俳優さんとの共演なので舞台にいるJulieには心の中でおめでとうしてたのに
後方からJulieおめでとうの声が、、、
Julie主演ではないお芝居だから、この場所でのおめでとうは似合わない、、、
普通のときのように幕が下りてよかった

終演後、観劇仲間たちとタクシーで帯広へ
宿泊先の居酒屋さんで観劇の余韻とJulie56歳おめでとうの乾杯して
24時に部屋に戻って2004年6月25日の幕を閉じて
翌朝、Julieの余韻で心地よくめざめ、宿泊先のレストランでひとり朝食終えて
午後の飛行機で羽田到着、無事に帰宅
旅の荷物ほどく前に歯医者さんに行って、空の上でとれちゃったさし歯をくっつけてもらって

6月26日 記




(追記)
◇それから9年後の2013年の秋に再び帯広空港へ

北海道の真ん中あたりを目指して上空から地上へと降りていく飛行機
地図の逆三角形に観えるとこが、あそこかなぁって隣の上司と部下のような関係のふたり

窓側のひとは2回目だから、ちっちゃい窓から緑の風景じぃっとみつめて
あら緑の中に耕運機がなんて、地上に降りてバスの車窓からそんな風景まじかに
飛行機から耕運機が見えたのも北海道の広大な畑だから
きっと見えるはずって見ようとしていたから?
2004年から2度目のバスの車窓みつめながら、9年前は牛もいっぱいいたのになぁなんて


牧場をみつめた数時間後の帯広のライヴ会場で
幕別でJulieのお芝居を観ていたことなど思い出していたら

Julieもお芝居以来だったみたい
亡くなった杉浦直樹さんとの二人芝居「謎の変奏曲」
「あぁいうお芝居がいいなぁ」って

杉浦直樹さんが演じたノーベル賞作家のズノルコ役
いつかズノルコを演じるJulieが観たいなぁって思っていたけれど

その後、ズノルコ役のオファーはあったそうだけど
まだ早いかなぁってお断りしたんだって

Julie56歳のときの二人芝居
Julieの1回の膨大なセリフ、台本どれだけのページだったんだろう
テレビドラマなら取り直しも簡単だけど舞台だからこその長いセリフ

帯広ライヴのMCで
Julieも二人芝居を振り返って「よくやったなぁ」って感慨深げだった
そんなJulieの言葉で青い空の下で食べたおにぎりの味も思い出したり

2013年10月6日 記