時空の旅人

(ケムコ/アドベンチャー?/FC)


注:かなり雑で間違いも多いかもしれませんが、映画の話にも少し触れています。映画のネタバレが嫌な方はご注意下さい。

ここに書いている他の作品とは少々毛色が違う作品です。
ジャンルに「?」が付いている時点でおかしいですね。
でもこれ、ジャンルとしては何になるんでしょうか。
アドベンチャーというと推理もののイメージがあるので、それとは大分違うのですが、他のジャンルには入れられないと思うのでアドベンチャーとしておきます(「その他」というのも違う気がするので)。

さて、この作品、我が家では一番のクソゲーと言われていますが、世間一般の「クソゲー」という認識とはちょっと違うかもしれません。
と、いうのは、必ずしも悪い意味で使っているわけではありません。
いや、ゲームとしての出来にはかなり難があるとは思いますが、当時は何故か家族みんなでわいわいやっていたんですよね。
未だに話題に上ることがあるのは、単に懐かしさがあるのかもしれません。

そもそも何故この作品が家にあるかということですが、あの頃は中古で購入するなんて事は知らなかったので恐らく親が定価で買ってきたのでしょう。ネットで「これを定価で買った人は可哀想」というような内容を時々見かけますが、正に「定価で買った」んですね(笑)
敢えて親に聞いた訳ではないのですが、この間たまたまそんな話になりまして。どうも、おもちゃ屋さんでお薦めのものを聞いたら「これが出たばかりなんですよ。一番オススメです!」とか何とか言われたらしいです。出たばかりで店員さんもやっていなかったんだろうきっと(笑)
‥‥まぁ、定価で買った父には悪いですが、そのおかげで今こうしてそのネタゲームを楽しんでいる訳です(笑)

さてさて、ここを読んでいるという事は、多少なりともこの作品を知っているという事だと思いますが、あらすじとしては「日本の歴史を変えようとしてセドウド=ジンとの戦いに敗れたクタジマ=トシトは、やはり歴史を変えるという夢を捨てきれず、傷が回復してからタイムマシンに再び乗り本能寺へと向かう」ということ。

しかし、セドウド=ジンやら、クタジマ=トシトやらと言われても何のことだかサッパリ分かりません。しかし分かる必要は全くありません。一応、クタジマ=トシトというのがこのゲームの主人公であり、プレイヤーが操作しているのはこの人物らしい、と言う事ぐらいは分かっていた方がいいでしょうが、それで十分です。これが今日びのゲームであれば、ある程度進むとセドウド=ジンなる人物が歴史改変の妨害をして‥‥なんてなりそうですが、セドウド=ジンなんて全く出て来やしません。

ゲーム内には特に話が出てきませんが、設定としては、この作品は元々原作の小説があり、それがアニメ映画化され、それが更にゲーム化されたものです。それぞれかなり違ったものらしいのですが、原作のあらすじを見ていると映画版とそんなに違わない気がするのですが、原作は読んでいないので何とも言えません。
ゲームの方は、映画の続編、というより後日談の様な話になっています。

映画のストーリーをかなり大雑把に書くと、未来の自分の生活に嫌気の差したアギノ=ジロなる少年が現代にタイムスリップしてきて、それに現代の少年少女数人+先生が巻き込まれるという話です。アギノ=ジロが持っていた装置は、過去にしかワープできないというものらしく、現代から第二次大戦へ、そこから幕末に行ったのかな?そして本能寺へと行くことになります。で、そこで本能寺の変を無かった事にしようというクタジマ=トシトとそれを防ごうとするタイムパトロール(だっけか?)のセドウド=ジンが衝突する事になり、アギノ=ジロは歴史を変えないためセドウド=ジンに協力します。そして、細かい事は忘れたのですが、結局歴史改変を妨げたものの、アギノ=ジロはクタジマ=トシトを助けようとしてセドウド=ジンを倒してしまったんじゃないかと思います。
この映画自体も結構ツッコミどころが多いと思うのですが、まず現代の少年少女達が主人公かと思いきや、アギノ=ジロがクタジマ=トシトを助けようとしている内に、彼らは記憶を消され現代に返されてしまい、アギノ=ジロが何故クタジマ=トシト側に付いたのかも分かりません。
そしてこのネーミングセンスも謎だ‥‥。

そして、これはゲームに繋がることなので映画ではなくゲームの問題なのですが、映画ではクタジマ=トシトはほとんど死んでいたのですが、何でゲームでは完全復活しているんだろう‥‥(これはゲームとは無関係ですが、クタジマ=トシトは人間ではなくロボットだったかと思います、映画では)。
なおこれは補足ですが、何故歴史改変が本能寺から始まるのかと言うと、どうもクタジマ=トシトは信長の事を尊敬していたようです。映画では、唯一支配者として認められる人物という様な事を言っていたと思います。
映画を見た後だと、ゲームでの訳の分からん設定も多少は納得が行く‥‥様な気がします(笑)

さてさて、いい加減ゲームの方に戻りましょう。

と、いうことで最初は本能寺の変から始まります。
選択肢は「はい」と「いいえ」のみ。
結構訳の分からない展開になったりします。
いきなり神様扱いされて雨乞いをする羽目になったりして。
そして本能寺が炎に包まれるならそれは正統な歴史を突き進むことになります。これはいい。
そして、光秀の兵が攻めて来た事を知らせると、「でかした」なんて言い光秀を処刑してしまいます。これも歴史改変という意味ではいい。
しかし、光秀に囲まれ切腹しようとする信長を止めると「私だって命は惜しい。助けてくれないか」に対し「はい」と選ぶと「信長は何事も無かったかの様に帰って行きました」

‥‥‥‥

‥‥‥‥‥‥どこに帰ったんだよおい。

ま、まぁそんなこんなで選択肢によって歴史を進む訳です。
受け答えによって色々な方向に進んでいくので、正しい選択肢を選んで進んで行ってくれ、というコンセプトです。
全部で何ステージあったかは忘れましたが‥‥えっと、11かな?「場所(そこで会う人)」という記載で、

本能寺(信長)

大阪城(?)(信長or秀吉)

関が原(秀吉or光成or家康)

島原(天草四郎)

紀伊国屋文左衛門の船の上(紀伊国屋文左衛門)

大塩平八郎の家(大塩平八郎)

浦賀(井伊直弼)

池田屋前(近藤勇)

西郷隆盛の館(西郷隆盛)

東京(横浜だったかも)(伊藤博文)

東条英機の屋敷(東条英機)

ED

と、いう流れだったかと思います。本能寺は一つですがそれ以降のステージはは各面ごとに「正統な歴史」「愛の支配する歴史」「食べ物の支配する歴史」「力の支配する歴史」「金の支配する歴史」の5パターンが用意されています。
「正統な歴史」は普通ですね。比較的やりやすいと思います。
「愛の支配する歴史」は、色恋沙汰が絡んできます。近藤勇は池田屋の娘か何かに恋をし、西郷隆盛は友人に女房を取られ、伊藤博文は清の女王に恋をします。
「食べ物の支配する歴史」はみんな食べ物を追いかけます。信長(秀吉だったかな?)は確か朝鮮漬けを求め家康と光成はすまし雑煮と味噌雑煮どっちが美味いかと言い争いをし、天草四郎はカステラに興味を示し、伊藤博文は中華料理に興味を示し‥‥といった感じです。
「金の支配する歴史」は、みんながやたらと金の事を気にします。秀吉かなんかは金山がどうのとか言ったと思うし近藤勇や伊藤博文は借金に悩んでいます。
そして「力の支配する歴史」はストレートですね。みんなが力で物事を解決しようとするパターン。

そしてこの作品、ルートが5つある事から分かるように「マルチエンディング」です。
しかしどれもあまり後味のいい終わり方ではありません。

「正統な歴史」のEDは人類が核戦争に走り地球は壊滅してしまうというもの。「クタジマ・トシトは歴史を変える事が出来なかった」で終わります。クレーターの出来たピンクの地面に、水色のビビッドカラーな空。結構怖いです。しかし映画からのツッコミをさせてもらうと、アギノ・ジロが来た未来はあんなクレーターで壊滅してはいなかった様な‥‥その後に近未来都市をつくったんだろうか。

「愛の支配する歴史」は人々は愛を大事にして戦わなくなったのはいいものの、愛を大切にするあまり働く事すら忘れてしまい人々は堕落した生活を送る事になるという終わり方。戦争は回避できたものの、これでいいのかと溜息を吐くクタジマ・トシトでした。

「食べ物の支配する歴史」では食べ物に悩まされ、米粒一つをも争うようになったという終わり方。まあ多少のいざこざはあるものの、人々は大きな戦争どころではなくなったらしく、一応一安心、と言えない事も無いけれど‥‥。クタジマ・トシトも今日のご飯を求め人々の列に並ぶのであった。
EDグラフィックはオレンジの背景に黒いシルエットの人々(三頭身くらいで頭が丸っこいデフォルメの影ですけど)が「FOOD!!」と叫んで歩いている絵だったかと。

「力の支配する歴史」のEDは力を求めて大きな戦争が起き、多くの人々が死に‥‥その結果、人々は武器を捨てて平和に暮らすようになった、というもの。平和な街を見てクタジマ・トシトもホッと一息。
でもこれって「正統な歴史」と大差無い展開の様な‥‥(^^;)こっちでは核兵器は使われなかったのでしょうか。
多分、これが一番グッドEDという認識なんじゃないでしょうか。昔やってて、自力で行き着いた時は嬉しかったです。

そして「金の支配する歴史」の最後は、人間は金に飽かせて戦争を‥‥と言うか、この「戦争ごっこ」がどんどんエスカレートし、舞台が宇宙に移っていったというもの。宇宙で戦争ごっこをしていても地球は平和、ということです。「これからも平和は続くだろう。銀河系に亀裂が生まれる事が無ければ」と締めくくられますが、当時は「ぎんがけいにきれつが」‥‥って何だろう、と思ったものです(^^;)
上に書いた様に、グッドEDとして意図されたのは「力の〜」だと思うのですが、個人的にはこれが一番ハッピーな終わり方かと思いお気に入りです。ちなみに宇宙人が巻き込まれたりはしていませんのでご安心を(?)

なお、どのEDもスタッフロール等は一切ありません。上に書いた各シーンで終わりです。

さて。

これだけなら、このゲームもまあそこら辺にあるさほど面白くないゲームで終わったかもしれません。
しかしこのゲーム、EDにたどり着くだけが終わりではありません。
と言うか、EDにたどり着くのが結構大変。

まず、よく死にます

例えば、信長の頼みを断り続けると「これだけ頼んでも駄目なのか。泣かぬなら殺してしまえホトトギス」と殺されます。
まあ信長ならそれくらいするかな、と思いますが、すまし雑煮と味噌雑煮、どっちも不味いと言おうものなら家康と光成に雑煮を口に突っ込まれ窒息死します。
友人に妻を取られた西郷の「殺すか?」という質問に「はい」と答えると、そんな奴は‥‥と殺されます。
何よりよく殺してくれるのは東条英機氏でしょう。
下手な事を答えるとすぐ殺されます。細かいエピソードは忘れましたが、覚えているものを一つ。台詞はうろ覚えで、多少選択肢も抜けているかもしれません。

東条:「飼い犬に手を噛まれた事はあるか?」

「はい」

東条:「犬のやった事と許すか?」

「いいえ」

東条:「犬を殺すか?」

「はい」

東条:「犬を殺して何になるのだ。」なぜか東条に撃ち殺されました。

「何故か」って製作側まで理由提示を放棄しているぞ!!

その他にも天草四郎に切り殺されたり、近藤勇に切り殺されたり、紀伊国屋には船から突き落とされたり‥‥絶対殺さない人なんていないんじゃないかというくらいよく殺されます。しかも東条氏に至っては理不尽な理由で殺されます。
殺されないように選択肢を選ぶのも一苦労です。

次に、よくタイムマシンに乗り損ねます

このゲームのステージには、目の前に歴史上の人物がいて「はい」「いいえ」を選んでいくか、タイムマシンによってその時代に降り立つかの2パターンがあります。上に書いた各ステージのどれがどっちかをいちいち書くのも無駄だと思うのでここでは割愛しますが、後者の場合は殺されないように上手く選択肢を選んだところでタイムマシンが登場し、そのタイムマシンから放たれる光に上手く乗らないと、その時代に取り残されてゲームオーバーです
ガックリ項垂れるクタジマ・トシト。嗚呼可哀想。
しかもこのタイムマシン、出てきたその位置で光を発してくれればいいのですが、右に左にウロウロしてから止まって光を発します。更に、このパターンがフェイントっぽく、あぁ右だなと思って動くとカクンと左に逸れて行ったり、クタジマ・トシトの身体が完全に光に当たっていないと(一部でも当たっていない部分があると)やはり取り残されます。

やっていた当時はアクション(とも言えないのですが)が本当に駄目で、この「タイムマシンに乗る」が一番嫌だったのですが、この間数年ぶりにやってみたら結構簡単でした。幼さゆえか‥‥と思ったのですが、ネットで見たら結構あれで苦労した方もいたようです。

そしてこれはゲームオーバーではないのですが、とにかくよく戻されます。殺されない様に選択肢を選び、タイムマシンに乗ったとしても、選択肢を間違えていれば前の時代に戻されてしまいます。特に、東条英機氏の所で失敗すると「時空のひずみ」という何とも都合のいい言葉で本能寺まで戻されます。今までやった事全て水の泡だよ‥‥。
もしかすると、殺されるよりもタイムマシンに乗るよりも最大の敵はこれかもしれません。いっそのことゲームオーバーにしてくれればいいのに続くから辛い‥‥。

なお、戻されまくっていると一応もう一つのゲームオーバーになりえます。エネルギー切れです。
最初10000のエネルギーポイントが、正しく歴史を進んでいくと10増えるんだったかな?そして戻るか他の歴史に逸れてしまうと50か100くらい減るんだったかと思います。これが0になると永遠に時空間を彷徨う事になるのですが‥‥10000もあったらそうそう減らないっつーの。

と、いうことでやたらとゲームオーバー要素が多いこの作品。
しかも選択肢のパターンが読めないし‥‥。
しかしふとこの間やってみたら、2時間くらいで全パターン行けてしまったので、当時の苦労は何だったんだろうと言う気もちょっとします。
まぁ元々「はい」「いいえ」だけのゲームなので選択肢をメモしながら行けば簡単に出来るって事なんですけどね。某「たけしの挑戦状」の様に「そんなの分からねえよ!」と言う事も無ければ、某「スーパーモンキー大冒険」の様に「どないせいっちゅーんじゃ!」と言う事も無いので難易度は高くないゲームですね。

この作品はもう訳の分からなさと理不尽さに尽きるでしょう(笑)
ネタとしては面白いですが、とても他人様に勧められる作品ではありません。
いや面白いですよ、ネタとしては。
今中古市場でいくらぐらいするかは知りませんが、100円くらいなら楽しめるんじゃないでしょうか。
私だったら、家にソフトが無くて、店頭で見かけたら1000円くらいなら買っちゃうかもしれません(笑)

<2009/08/19追記>

途中で終わるバッドED以外のEDは、この「正統な歴史」「食べ物が支配する歴史」「力が支配する歴史」「愛が支配する歴史」「金が支配する歴史」の5つだけだと思っていましたが、真のEDがあることをつい最近(というか書いている今日)知りました!
その条件は、「全ルートの全シーンを出してからEDに辿り着くこと」。
そんなもの自力で解ける筈もなく、当然攻略サイトに頼った訳ですが。
「第6のEDがあるらしい」と言った兄がやたら時間を掛けて行ったり来たりしているから何やってるんだろうと思ったのですが、そりゃ全シーン回っていれば時間かかるよな(笑)

内容としては、クタジマ=トシトが「自然と人間が仲良く暮らす争いのない世界」に辿り着くというもの。
他のEDのようにステータス(?)画面が出ず、画面いっぱいにイラストと文字が並びます。
曲も他のEDとは違ったもの。
ただし、スタッフロールはありませんし、話の繋がりも全くありません。
そして、当然と言うべきか全くのノーヒントです。
こんなの「どのEDもスッキリしねぇ。全EDの上に真のEDがある筈だ!」と思った人が根性を出してひっちゃきになって探し回らない限り出せませんよねぇ‥‥(^^;)
今なら「全ED見たら真のEDが見られます」程度だと思うんですが‥‥いやぁレトロゲームは奥が深い。

 

<評価について>

今までの作品と毛色が違うので、評価不能としました。
他のと別に評価無しの「レトロゲームについて」のコーナーでも作ろうかと思ったのですが、もう少し作品数が増えたら考えます。

 

(2004/04/08UP)


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